2006年07月16日

小説第二段〜

ま「さてさて、前回の小説バトンで触発されて、二回目の小説掲載でーすw 今回はまた別の話を持ってきてみましたw アンリミテッド・サガというまぁあまり注目されなかった作品からキャラを持ってきて、いろいろ書いてみましたw んではどーぞー♪」


アンリミテッド・サガ・まてつノベル


登場人物

>アーミック

21歳・男

趣味・・・昼寝

=>物語の主人公、心優しいチャパ族の青年。
非常にのんびり屋な性格で、慌てたり、急いだりするのは苦手、そのため村の者はおろかアーミック自身も自分をのろまだと思っているが、以外にも運動神経に優れ、村の狩りにおいても、得意の弓と近接剣術で活躍する。
「村一番のお人好し」で有名であり、常に他人の為に行動し、人助けのために無茶をして、怪我をおうこともしばしば、しかし本人はいたって気にしてないばかりか、そのことで皆に心配をかけてしまった、と考える。
それ故、村の者からの人望は厚く、スプニーをはじめ、彼を慕う者も少なくはない。  
のんびり屋な半面、一度決めた事は最後まで貫く性分で、それはくじけない心という長所と、やや頑固な所があるという短所につながる。
滅多なことでは怒らないが、本当に許せないものに出会ったときには、激流が如き怒りを見せる。


>スプニー

16歳・男

趣味・・・読書

=>「村一番の勉強家」で知られる、チャパ族でも珍しいインテリ派な少年。
人付き合いが苦手で、一時期は引きこもり状態であったが、ある時村が洪水にみまわれ、濁流に呑まれそうになったとき、身を呈して自分を助けてくれたアーミックのやさしさに触れ、以後は少しづつではあるが、人とコミュニケーションをとれるようになる。
アーミックには絶対の信頼をよせるが、感情の整理が苦手なスプニーは、それを「恋慕」に近い捉え方をしてしまっていて、同性に恋を求めることに対するタブーを感じながらも、事あるごとに彼の世話を焼きたがる。
確かな知識に裏打ちされた、しっかりとした意見を述べ、参謀役としてチームを引っ張るが、それはあくまでもアーミックが側にいる場合であり、頼る者がいないとパニックに陥る脆い一面もある。


>メリト

26歳・男

趣味・・・日曜大工

=>チャパ族一の勇者にして、食料を確保する「狩り役」のリーダー。
頭脳明晰、容姿端麗(あくまでもチャパ族の尺度)、運動神経抜群の上、面倒見の良い頼れる性格をもち、次期村長の声も高い。
必殺の二刀流の使い手で、たった一人で兇暴なトロールを撃退したことは、チャパ村の武勇伝の一つ。
アーミックやスプニーを、弟の様に可愛がっていて、人のために自分をおろそかにしてしまうアーミックを、陰日なたに手助けしていた。
村中の女性(チエラ除く)の憧れの的だったが、去年ついに裁縫屋の娘と結婚、狩りで破れてしまったコートを直してもらったのが付き合い始めたきっかけらしい。


>カレシン

16歳・男

趣味・・・歌

=>陽気な歌と華麗なステップで、メリトと女性人気を二分する「村一番の人気者」。
世渡りがうまく、表向きは人懐っこいが、調子がいい性格で、内面は日和見な一面をもつ、おべっか使いであり、男性からの評判はあまり良くない。
だが、どこか憎めない三枚目的なものをもっていて、ムードメーカーとして活躍している。  
女の子には非常に甘く接し、村長の娘であるチエラを狙っているが、彼の試みは、チエラのアーミックへの想いの強さと、そんな彼女の想いをしるメリトによって、ことごとく失敗している。


>ボッド

28歳・男

趣味・・・酒

=>チャパ族では極めて珍しい大きな体格をもった、「村一番の力持ち」。
その怪力は、村での土木工事などで大活躍するが、同時に気にいらない事や細かい事も力で解決しようとしてしまうため、村では厄介者あつかいをうけている。
だが、根っからの悪人と言うわけではなく、一度腹を割って話せば、気風の良い親分肌な一面をみせる。


>チエラ

19歳・女

趣味・・・アーミックと話すこと、ヌイグルミ作り

=>村長の孫娘で、アーミックの幼馴染、12年前旅人のもってきた流行り病で両親を亡くし、自分もまた、寝たきりの生活を送る薄幸の少女。
そのころから知り合ったアーミックに一途な恋心を抱き、「アーミィ」と愛称で呼んでいる、全ての行動理由の最優先事項がアーミックであり、その他の若い男(主にカレシン)の誘いは頑として受けつけない、また、アーミックに対しても、かまってくれないとすねてしまったりする。
いつか病気を治し、アーミックと結婚する事を夢見ていて、その後のことを考え、料理や赤ちゃんの世話などの本を読んで勉強する、いじらしい所もある。



専門用語

>チャパ族、チャパの村

・・・チャパ族は、ビーバーと人の中間のような姿を持つ亜人種であり、大きな目と、ピョンと飛び出した前髪が特徴、基本的に人間にも友好的で、成人しても130c m程度の小柄な民族。
「大水源」とよばれる高い峰のふもとに村があり、大きな水路に二分された構成をしている、これはチャパ族が水と共に暮らす種族であるためで、泳ぎを得意とするチャパ以外の種族は、この村の造りにとまどうという。
超古代では「水と共にある者達」と呼ばれた種族で、チャパの村、そして大水源から離れて暮らすことは極めて稀。



>イスカンダール

・・・超古代、まだ星が生まれたころに、五大元素の神(火炎の神イグニス、流水の神チャピス、金刃の神マテリウス、深緑の神ユースリス、大地の神ダイダロス)を説得し、「命」を生み出させたといわれる存在、歴史上初めての人類とも言われており、各地では「大賢者」の名と共に伝説が残っている。
さらに、伝承には、世界に崩壊の兆しが見えたとき、幾億の時をへても復活し、世界を救うとも伝えられている。






アーミックの冒険日記


陽光の月 二十二日 チャパの村、草の丘



ぽかぽか、ぽかぽか
今日も一日、とってもいい天気です。

こうして、日がな一日、丘の上でひなたぼっこをしながら、ぼぉ〜っとお空を眺めたり、お昼寝をしたりするのには、絶好の日よりですね〜

でも、こんなことを他の人にいうと、変な趣味、っていわれます。

確かに、チャパ族の他の皆と比べたら、ボクはずいぶんぼ〜っとしています。
けど、こうしてお空を眺めるのって、結構楽しいと思いますよ?
例え、一日中何もしなくっても、ボクの見ている前で、お空がいろんな顔をして、いろんな形の雲が流れたりして。

ふぁ〜・・・

難しいお話をしたら、ちょっと眠くなってしまいました。
おなかも空いてないし、お昼寝でもしようっと。

ころんっと横になると、柔らかい草が、カーペットみたいに気持ちよく、ボクを包んでくれました。

外でお昼寝するのは大好きです。
いつもは上にあるお空が、目の前に広がるからです。
今日は本当にいい天気です。
雲の合間を、大きな鳥さんの影がいったりきたりしています。
おっきいなぁ、なんて名前の鳥さんなんだろう・・・?

「アーミックさぁーん!」

あれれ? それはボクの名前ですよ?

誰かが僕の名前を呼んでるみたいです。
起きてあたりを見渡してみると、村の方から、スプニー君が走って来るのが見えました。
スプニー君、なんだかとってもあせっているみたいです。
なんて思っていると、スプニー君はあっという間にボクの所まで来てしまいました。

「はぁ、はぁ・・・絶対ここだと思いましたよ」
「どーしたの? そんなにあわてて」
「今から臨時に集会を開くそうですよ、村長から大事な話しがあるとかで・・・全員出席だって聞いて、アーミックさんが、ちゃんと集れるかどうか心配になって・・・それで来たわけですよ」

スプニー君は、いつも皆から一歩遅れるボクを、なにかと心配してくれる親切な友達です。

「ありがとうスプニー君、でも、大事な話しって、一体なんだろう・・・?」
「多分、村の干ばつの事じゃないですか?」

スプニー君は、そういうと、くるりと村の方を見ました。

あ、そういえば・・・

ここ数ヶ月の間、ずうっといいお天気が続いてしまったせいで、ボク達の村は今、大干ばつの真っ最中なのでした。




陽光の月 二十二日 チャパの村、中央広場



「皆も十分解っている事だとは思うが、今年の干ばつは特にひどい! このままでは、村の水路は愚か、水源である川までもが干上がってしまうじゃろう!!」

長老の大きな声が、広場いっぱいに響いています。
村の広場は、そんなに大きくはないですけど、それでもちゃんと聞こえるような声で話せるなんて、村長はやっぱりすごいなぁ。

すごいといえば、スプニー君もです。
スプニー君の言ったとおり、集会の内容は、村の干ばつの事でした。

「スプニー君、村長の話の事が先にわかっちゃうなんて、すごいなぁ」
「もう! このくらい誰だって察しがつきそうなもんですよ? トラブルなんかとは無縁だっていうのが売りのこの村で、今臨時に集会なんてかかることと言ったら、これぐらいじゃないですか・・・それより、村長の話、ちゃんと聞かなきゃダメですよ、ほら前向いて」

スプニー君の言う通り、村長の話に耳を傾けて見ると、ちょうど一番大事な所みたいです。

「・・・そこで! かつて四百年前に使われた、『イスカンダールの雨乞い儀式』を執り行いたいと思う!」

イスカンダールの・・・雨乞い儀式?

その名前が出た途端、集会のあちこちから、ドヨドヨと話し声が聞こえてきました。
隣のスプニー君も、

「そんな・・・アレには確か、相当な量の材料が必要なはず・・・」

ってつぶやいたまま、長老をじっとみています。

イスカンダールの雨乞いの話しなら、ボクも知っています。

==============イスカンダールの雨乞いの伝承===========

四百年も昔に、今と同じように良いお天気が続いて、川が干上がってしまったことがあったそうです。
村の皆が困っていると、そこに一人の物乞いの方が現れて、

「どうか私に、何か食べ物を恵んでください」

と言いました。

村の人達は、自分達が困っているのにも関わらず、精一杯のもてなしをしました。
すると、その物乞いの方は、感謝の印にと、雨乞いの儀式を執り行いました。
その途端、本当に雨が降り、三日三晩降り続いて、村はすっかり元通りになったそうです。

物乞いの方は、雨乞いのやり方を記した石版を残して去っていきました。
そして、その石版には、その方のお名前が、イスカンダールと書いてあったのです。

=======================================

確かに、その雨乞いの儀式をしたら、また元の村に戻るかもしれませんねー。
そうしたら、丘の上のひなたぼっこと同じくらい好きな、川にプカプカ浮かびながらのお昼寝が出来ますよ。

「これより、儀式に必要な品物を集めてくるという役目を担う、勇者達を選定する!! 名前を呼ばれた者は前に出よ!」

そっかぁ、スプニー君が言ったように、いっぱい材料が必要だから、それを村の外まで取りにいかなきゃいけないんですね〜

「村一番の勇士! メリト!!」

チャパ族で一番の戦士であるメリトさんが、最初に呼ばれました。
皆、わぁ〜っという歓声をあげています。
メリトさんはとっても強いし、優しい人だから、きっと勇者に選ばれると僕も思っていました。
外は怖いモンスターさん達が、いっぱいいますから、勇者になるのは、メリトさんみたいに強い人でなきゃダメだと思います。

「光栄です」

メリトさんがかっこよく一礼すると、村長はメリトさんの胸に、勇気の石メダルをつけました。
勇気の石メダルは、チャパ族の男が、どれほど勇気のある男かを示す印で、勇敢さを証明したり、勇者と呼ぶべき行動をとると、村長から貰えます。
もちろんメリトさんは村の男の中で一番多くメダルを持っています。
確か、10枚くらいだったと思いますよ。

「次、村一番の人気者、カレシン!!」

またもやわぁ〜っと歓声が上がりました。
カレシンは踊る様にメリトさんの隣にでて、メダルを貰いました。
カレシンは、とっても踊りと歌が上手です。
きっといろんな人と友達になれるから、品物をすぐ集められると思います。
でも、カレシンはあんまり狩りが上手じゃないから、モンスターさんと戦って、怪我しないか心配です。

「やっとメダルが貰えたよ〜♪♪ がんばーりま〜す♪」

あれれ? カレシンはメダルを今まで持ってなかったのかな? なんだかとってもうれしそうに、くるくる踊っています。

「村一番の勉強家、スプニー!!」

おや? 今度はスプニー君が呼ばれました。

「ぼ・・・ボクが・・・!?」

スプニー君は驚いた顔をして、おどおどと前に出ていきました。
スプニー君はとっても頭がいいから、手に入れるのが難しい品物もきっと見つけられると思います。
それに、スプニー君はあんまり運動が得意ではないけれど、なんと魔法を使うことができるので、村の外でも大丈夫じゃないかなぁ、と思います。

「あ、あの・・・精一杯がんばります!」

メダルをつけて貰ったスプニー君は、とっても照れている様に見えます。
よかったね、スプニー君、がんばってね。

今度はだれが呼ばれるんでしょう?
村一番でなければいけないみたいだから、多分村一番の力持ちのボッドさんかなぁ?
それとも、村一番の美人って呼ばれている、ラシィさんかもしれないですね〜。

「最後は、村一番の・・・え〜・・・」

ふと横をみると、ボッドさんがもう立ちあがる準備をしているみたいです。

すごいなぁ、この四人なら、あっと言う間に儀式の材料を集めてこれそうです。
皆、頑張ってください、ボクは何にも出来ないから、みんなの無事を祈って・・・

「村一番のお人好し、アーミック!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さっきまで大騒ぎだった広場が、しーんとなってしまいました。

かっこよく背筋を伸ばして立っていたメリトさんも、嬉しそうにメダルをいじっていたカレシンも、恥ずかしそうに俯いていたスプニー君も、半ば腰を浮かして立とうとしていたボッドさんも、村の皆が、信じられないって言う顔で、ボクと村長を見ています。

でも・・・

多分この中で、一番信じられないっていう顔をしていたのは、ボクだと思います。



陽光の月 二十二日 チャパの村、村の道



「まったく!! 村長はどうかしてますよっ!!」

皆が静まり返ってしまったままで、臨時集会は終り、ボク達四人は、村長の家に来るように言われました。

その道中、ボクの隣をスプニー君が、なんだか怒りながら歩いていました。
ボクみたいなのろまが選ばれてしまったことで、きっと怒っているんだと思います。

「スプニー君、ごめんね、ボクみたいのが選ばれちゃったから・・・」
「そうじゃありません!!」

謝ろうとしたら、スプニー君は、ばっとこっちに振り向いて、すごく心配そうな目でボクをみました。

「いくら村の一大事だからって、アーミックさんまでこんな危ない事に巻き込むなんて・・・! もしモンスターと戦って怪我なんかしたら・・・!!」
「でもさぁスプニー、それはオイラ達だって一緒じゃないか〜」

前を歩いていたカレシンが、くるりと降り返りました。

「危ないのは同じなんだから、アーミックさんばかり心配してもしょうがないと思うなぁ・・・まぁ、確かにアーミックさんはちょっとのんびりだから、心配って言ったら心配かもしれないけど」
「それですよっ!!」

今度はカレシンをびしっと指差して、スプニー君が声を上げます。
こんなに大きな声で話すスプニー君は初めて見ます、やっぱりボクのせいかなぁ・・・?

「ボク達なら、まあそこそこ危ない目にあっても多少の対応なり、対処なりが出来るかもしれませんけど、アーミックさんみたいに、性根が穏やかで争いを好まないような人がそんな所にほっぽり出されたらっ!! 一体どうなると思いますか!?」
「まぁまぁ、落ち着くんだスプニー」

興奮しているスプニー君を、メリトさんが優しくなだめます。

「確かにアーミックは争いを好まないのんびり屋だ、そこは誰もが知ってるさ、だけどそれで戦闘が不得手と言う事にはならないだろう? 事実アーミックは村の男達の中でもかなり狩りが上手い方だ、剣の使い方もいい、オレとしてもアーミックをあまり争い事に巻き込みたくはないが、こういった時だ、村長も何か考えがお有りなんだろう、だからそう心配するな、スプニー」
「・・・ええ・・・わかっては・・・いますが・・・」

なんとかスプニー君も落ち着いたみたいです。
やっぱりメリトさんは大人だなあ。

「それに、アーミックを勇者にすると言う考えも、あながち大間違いとは言えないかもしれないぞ」

メリトさんはそう言いながら、今度はボクの方をみました。

「アーミック、さっき貰ったのも足して、メダルは幾つになった?」
「え〜っと・・・三つです」
「えええっ!!? アーミックさん、三つもメダル持ってるのっ!? オイラさっき貰ったのが初めてなのに・・・」

カレシンは飛びあがって驚いています。

でもよく考えたら、ボクはもう三つもメダルを持っているんでした。

「一枚はディムダムのオオイノシシを倒した時の奴だな」
「あれ? メリトさん、どうして知っているんですか?」
「そりゃあ、あのときその場にいたからな、狩り役全員でかかっても止められなかったあのイノシシが、村の方に向かって行った時にはどうしようかと思ったが、村からひょっこり出てきたお前が持ってた弓でイノシシの足を射抜いて仕留めたんだったな」

えーっと・・・・そうでしたっけ?
・・・そこまでは、ボクも覚えてません・・・

僕も忘れている事を覚えているなんて、やっぱりメリトさんはすごい人だなぁ。

「ひえ〜っ、アーミックさんて、実はけっこう強いんだぁ! オイラ、ソンケーしちゃうかも」

カレシンがボクの周りを踊りながら、「すごいぞつよいぞアーミック〜♪」なんて、ちょっと照れちゃう歌を歌い始めたそのときです。

「けっ! たかがイノシシだろうが!!」

あたりに響くような大声をあげて、ボッドさんが横の草むらから出て来ました。
ボッドさん、何だか怒っていますよ。

「・・・何の用だ、ボッド」
「てめえには用はねぇ、メリト! オレはそこの腑抜けヅラに話があってきたんだ」

と、言って、大きな大きな指でボクを差しました。
あれ? ボクに用事だったんですか?

ひょっとして・・・

「あの〜、ボッドさん・・・もしかして、ボクが勇者になっちゃった事、怒っていますか?」
「ったりめぇだ!! なんでこのオレを差しおいて、てめぇみたいなのが勇者に選ばれてんだよ!! アーミックのクセに生意気だ、その役、オレに譲りな!!」

う〜ん、そう言われても、ボクがなりたいって言ってなったわけじゃ、ないんですけれど・・・
でも、そう言ったら、ボッドさんもっと怒りそうです。

「いきなり何を言い出すんだボッド!! アーミックが選ばれたのは、村長の意志だぞ!!」
「そうですよっ!! 自分が選ばれ無かったからって、アーミックさんにあたるなんて最低の行為ですよっ!!」

なんて言って許してもらおうかと考えていたら、メリトさんとスプニー君が、ボクとボッドさんの間に入ってかばってくれました。
けれど、それでボッドさんはますます不機嫌になってしまったみたいです。

「るせぇっ!! 大体アーミックが選ばれたんだって、きっと村長の頭がボケてでもいたせいだろうよ、なぁメリト、てめぇだって、こんなのろまとじゃあ、仕事したくもねぇだろ?」
「自分の事しか考えていないお前なんかより、何倍も・・・いや、比べるのがアーミックに対して失礼だな」
「なんだと!?」

う〜ん、やっぱり、これはボクのせいみたいです。
ともあれ、ボッドさんにあやまらなくっちゃいけません。

「あの〜、ボッドさん、乱暴は止めてください、ボクが・・・」
「うるっせんだよ!! こうなりゃ、力づくでもテメェからそのメダルもらってやる!!」

ぶぅん!!

ボッドさんの大きなコブシが、ボクに向かって飛んできました。

「わぁぁ〜」

なんとか横によけれましたけど、びっくりしました。

「おい!! ボッド、やめないかっ!!」
「アーミックさん! アーミックさんがっ!!」
「たっ、大変だぁー!!」

他の皆が何を言っても、ボッドさんの耳には届いていないみたいです。
何だかよくわからないけど、ボッドさんが本当に怒ってしまったみたいです。
でも、こんなふうに乱暴するのはいけないことだと思います。

ボッドさんにその事を教えてあげなくっちゃ。

「ボッドさん、そんなことしたら、勇者になれませんよ?」
「がぁぁぁぁぁぁっ!!」

ぶん! ぶん! ぶぅん!!

「わ、わ、わ」

・・・やっぱり聞いてもらえないみたいです。
なぜか、今の一言でボッドさんがますます怒った気がします。
一体どうしたら良いのかなぁ?

「アーミック! 今助ける!!」

メリトさんが、練習用の石剣を二振り持って、僕達の所に走ってきました。

ん? そうだ、いいことを思いつきましたよ。

「メリトさん、その剣、ボクとボッドさんにかしてください」
「なに?」

メリトさんは、きょとんとして、ボクを見ています。

「それで勝負して、勝った方が勇者になれば良いんですよ、そうすれば、ボッドさんも納得してくれると思いますよ」

ボッドさんのパンチをよけながら喋るのは疲れるけど、メリトさんには意味が通じたみたいです。

「・・・よし、解った」
「メ、メリトさん!! 一体なに考えているんですか!! 剣を投げるならアーミックさんだけに・・・」

早速剣を投げようと構えたメリトさんの腕を、スプニー君がガシッと掴んでしまいました。
多分、ボクの事を心配してくれているからだと思いますけど・・・

「スプニー君、大丈夫だよ」
「でっ、でも! 納得できませんよ!! なんでアーミックさんがそこまで、ボッドなんかの肩を持つんですか!?」

ぶぅん!!

ボッドさんの大振りの右パンチを何とかかわします。
ボッドさん、ちょっと疲れてしまったみたいで、はぁはぁと肩で息をして、動きを止めました。
ふぅ、これで落ち着いて、スプニー君達に説明する事が出来ますね。

「ボッドさんも、きっと村のために頑張りたいんだよ、だからこんなに一生懸命になっているんだと思うんだ、ボクの方はやりたくて勇者になった訳じゃないけれど、それでも、選ばれた以上は責任を持ってやらなきゃいけないと思ってる、だから、ちゃんとお互い納得できる形で理解しなきゃ」

ボクは自分の考えていた事を、全部話しました。

これで解ってくれるかな、と思っていたら、何故かスプニー君は呆れて怒っています。

「もう・・・どこまでお人好しなんですか! ボッドがそんな立派な考えしてるわけないでしょう!?」
「スプニー君・・・もし、そうだとしても・・・やっぱりボクは、誰かがなにかを得るおかげで誰かが不幸になるなんて、いやだよ」

さらにスプニー君がなにかを言いかけようとするのを、メリトさんが手で止めました。

「もういいスプニー、アーミックの意志は固い」
「でもっ、こんなのって・・・!」
「・・・お前は、アーミックに恥をかかせるのか?」

そう言うと、メリトさんは、持っていた石剣を、ボクとボッドさんの足元に放ってくれました。

「ボッド・・・アーミックの慈悲だ、その剣を取れ、正々堂々と勝負するんだ」

ボッドさんは、すごい目つきでボクとメリトさんをにらむと、ゆっくりと石剣を拾いました。
同じサイズの剣ですが、ボッドさんにはちょっと小さく、ボクにとってはとっても大きな剣です。

「これで勝った方が勇者だ、いいなボッド、もしこれで負けても、なお暴れるんなら・・・」

ボッドさんよりも怖い目つきで、メリトさんは背中にしょった自分の剣を抜き放ちました。

「オレが・・・お前を斬るぞ」

ボッドさんはなにも言いません、ただ、石剣を上段に構えて、ボクに向き直りました。
解った・・・ってことですよね? よかったぁ、ボッドさん、解ってくれたんですね。

ボクも石剣を構えます。

本当はケンカなんてしたく無いけど、勝てるかどうかもわからないけど。
でも、これがボクとボッドさんが仲直りする一番の方法だと思います。

だから・・・手加減しません!

「・・・よし、始めっ!」

メリトさんの掛け声とともに、ボッドさんが先に動きました。

「おっっらああぁぁぁっ!!」

ぶおん!!


大上段からのフルスイング! ボッドさんの力なら、これで木の一本くらいは倒せちゃうと思います。

「えい!」

けど、当る訳にはいきません、ボクは横に飛んでかわすと、打ち下ろしたボッドさんの腕に飛び乗りました。

「っな!!」

驚いているボッドさんの顔に狙いを定めます。

・・・ごめんなさい、ボッドさん。

すかぁん!!

石剣を撫でる様にボッドさんの頭に当て、振りぬきます。

ごぉぉん!

そしてさらに、振り向きざま、後頭部に袈裟切り気味の一発!

「・・・・・・」

ボッドさんはそのまま白目を剥いて倒れてしまいました。

すごく痛かったと思うので、ボッドさんには悪い事をしてしまったかもしれませんが、力でも体格でも劣っているボクが勝つには、こうして頭を狙い、素早く気絶させるしかありませんでした。

ちなみに、このやり方は、狩りのときに発見した方法です。
これなら、獲物さんをあまり苦しめる事も無いから、とても便利です。

「アーミック!!」
「アーミックさああん!!」

ふぅ、と安堵の息をもらしたボクの側に、メリトさんとスプニー君が駆け寄ってきました。
なんだか、スプニー君は半分涙目です。
大丈夫かな? と思っていたら、いきなり両肩を掴まれて、かくかくゆすぶられてしまいました。

「アーミックさん、平気ですか? どこもやられてません!? さっきの一撃、かすってでもいたら大変ですよ? どこも痛く無いですか!?」
「スプニー、落ち着くんだ! 誰が見てもアーミックの圧勝だぞ?」

メリトさんがスプニー君の頭をぽんぽん、と軽く叩いてなだめます。

スプニー君は、ボクが怪我をしたりすると、いつも取り乱すほど心配してくれます。
そしてボクは、そのたびに、ちょっと申し訳無い気持ちになってしまうのでした。

「しかし、見事だったな、アーミック、いつ『撫で切り』なんて覚えたんだ?」

メリトさんが、とても感心したように言ってくれていますけど・・・

「あの〜・・・『撫で切り』って、なんですか?」

「なんだ、わからずに使ってたのか? お前がいま使った斬り方の事だ、お前のように体格が小さい者が、相手の懐に入って使うのには、もっとも効果的な剣術だぞ」

はぁ〜、そうだったんですかぁ。
ちっとも知りませんでした。

でも、「効果的」っていう事は、やっぱりボッドさん、とっても痛かったっていう事ですよね?
じゃあ、のんびりしていないで、早くボッドさんを手当てしないと・・・

そんなボクの視線に気付いたのか、メリトさんは、ふっと笑いました。

「まったく、さっきまで自分を散々バカにしていた相手を気遣うなんてな、お前のお人好しには感心するよ」
「そんな事言ってる場合じゃないですよ、ボッドさんを・・・」
「大丈夫だ、ちょうど人が来た」

メリトさんが指差す方を見ると、カレシンが村の皆を引き連れて、こっちに駆けて来る所でした。

「こっちこっち!! ・・・って、あれ? アーミックさん?」

慌てた様子で走ってきたカレシンは、ボクの顔と倒れているボッドさんをみて、なぜだがすごくびっくりしています。

「ひょ、ひょっとして・・・ボッドさんをやっつけちゃったの?」
「な、なんですかカレシン!! そんなアーミックさんが勝ったらおかしいみたいな言い方して!」
「あ、いや、その・・・別にそーゆーわけじゃ・・・え、えへへ・・・・」

とたんに、また怒り出してしまったスプニー君の言葉に、どこか気まずげに笑うカレシンの脇から村長が、すっ、と出て来ました。

「エライ目にあったようじゃの、アーミック」

苦労をねぎらう様に、いつもの穏やかな声で、村長はそう言いました。
けど、ボクはどこも怪我していないから、ボッドさんみたいに、エライ目にはあってません。

「いいえ、そんなことはないですよ」

だからそう答えると、村長はやれやれと肩をすくめて、村の皆に引きずられて行くボッドさんの方を見ました。

「お主、それは『ボッドと比べると』と言う意味でいっとらんか? 確かにあやつはイタイ目を見たようじゃが、ありゃ完全に自業自得じゃぞ」

そういう村長の隣では、メリトさんもボクに頷いてみせてくれています。
けど・・・

「結果的に、ボッドさんを傷つけてしまいました、原因がなんであろうと、誰かが傷ついてしまった時点で、誰が悪いとか、正しいとかは、無くなっちゃいますよ」

ボクの話を全て聞いて、村長は、ふーむ、と一声、溜息なのか唸り声なのかわからない声を漏らすと、

「・・・どうやら、お主を勇者にしたのは、大正解だった様じゃ、な」
「え?」
「時に、一つ聞きたいのじゃがの」

一体どういう意味か、さっぱりわからなかったので、もう一回聞こうと思ったら、村長の言葉に遮られてしまいました。

「え? え? なんですか?」

「カレシンの話だと、お主がボッドにけちょんけちょんにやられて死にかかってるから助けてくれということだったのじゃが・・・・・・どういうことかの?」

その日は、そこでいきなりカレシンに殴りかかるスプニー君を止めるのに大忙しで、村長に質問するヒマはありませんでした。



陽光の月 二十三日 チャパの村、正門前



朝日が、東の山から昇り始めました。
差し始めた柔らかい朝日が、村を彩り始める中、ボクとメリトさん、スプニー君と村長は、門の前に集っていました。
カレシンは、決めていた集合時間を過ぎているのに、まだ来ません。

う〜ん、どうしたのかなぁ
と思っていると・・・

「おぉ〜い! まってよぉ〜っ!!」
「よし、皆揃ったようじゃの」

村の通りから、カレシンが大慌てでこっちに駆けて来たのをみて、村長は満足げに言いました。
昨日のケンカ騒ぎの後、ボク達は村長から、儀式に必要な材料の一覧表と、イスカンダールの残した、石版の写しを貰いました。

石盤に書かれた文字は、スプニー君ですら読めないくらい、良く解らない文字で書かれていましたから、役に立つのかさっぱりわかりませんけれど、とりあえず持って置くように、と言われました。
その後はすぐ解散になり、ボクはスプニー君や、メリトさんに旅の準備を手伝ってもらいながら、二人にいろんな事を教えてもらいました。

家に帰ってベットに入っても、明日から全然知らない世界へ旅立つんだなぁ、と考えると、何だか眠れなくって、今朝までずうっと起きていました。
今になってすっごく眠くなってきちゃいましたけど、そのおかげで集合時間に間に合ったから、よかったかもしれません。

「ひー、寝坊したぁ・・・ひょっとして、オイラ最後?」
「そうですよ、アーミックさんなんて、一番に来てたんですからね」

肩で息をしながらボク達の所に並んだカレシンに、なんだかよくわからないけど、とっても得意そうにスプニー君が声をかけました。
なんでボクの事で、そんなに自慢気なのかわからないけど、その言葉の端々に、スプニー君が、昨日のケンカの事を根に持っているように感じられました。

こういうのを残して置くと、協力しなきゃいけない今回の旅には、良くないと思います。
言った方がいいかなぁ、やめておこうかなぁ。
ちょっと悩みましたけども、やっぱりスプニー君に言ってみることにしました。

「スプニー君、これから大変なんだから、ケンカの事は忘れようよ」
「えっ!? あ・・・ど、どうしたんですか? 急に」

カレシンをちょっと怒った顔で見ていたスプニー君は、ギクッとして振り向きました。

「な、なんで僕が、カレシンを怒ってる、なんて・・・」
「なんとなく、そう思ったんだけど、ボクは気にしていないから、スプニー君も、もう怒っちゃいけないよ」
「は・・・はい」

スプニー君は、照れているような、すまなそうな顔をして、こっくりと頷いてくれました。

「ったく、テメェのお人好しも、天井知らずってとこだな、アーミック」

と、ボクを呼ぶ声が、何時の間にか集っていた、見送りの人だかりの後ろから聞こえました。

「あっ!!  ・・・アーミックさん、彼です」

なんだかイヤなものを見てしまったような顔で、スプニー君が指差した方を見ると。

「あ、ボッドさん」

頭に包帯を巻いたボッドさんが、なにか縦長の物を持って、立っていました。

「ボッドさん、もう大丈夫なんですか?」
「なぁに、これくらいどおったことねぇよ」
(思いっきりノびてたくせに・・・)

と、とっても小さい声で呟いたスプニー君の脇を、メリトさんがさりげなく小突きました。
二人のやりとりがちょっと気になりましたが、いまはボッドさんと仲直りしておくことがもっと大切です。

「でも、結局ヒドイことしちゃいました、ごめんなさい、ボッドさん」

と、謝ろうとすると、ボッドさんはあわてて。

「お、おい、おめぇが頭下げてどうすんだ! 昨日のありゃ〜・・・その、オレが悪いんだからよ」
「え?」

思わず見上げると、ボッドさんは照れた様に目をそらし、頬のあたりをポリポリとかくと、もう一度、ボクの方を見て、マジメな顔になりました。

「昨日は正直な所、村の代表を取られて、悔しかったんだ、だからあんなことをした」

そこでボッドさんは、ふうっ、と溜息をつくと、なんだか悲しげに笑いました。

「・・・もちろんそんなモンは理由になんねぇって、今じゃよ〜っくわかってる、これからオレは、罰として一週間、村中の畑の世話をすることになってんだ」
「そうなんですか・・・」

やっぱり、ボクとケンカしたから・・・

「でもな、アーミック・・・なんつーか、上手く言えねぇんだがよ・・・自分を責めないでくれよな、オレは昨日の事、根に持ってやしねぇし、むしろ感謝してんだ、バカやってるオレを、体張って止めてくれてよ」

すっ、とボクの目の前に、ボッドさんの手が差し出されました。
そこには、あの縦長の箱が握られていました。
ボッドさんだから握れるけれど、ボクから見たら、ひと抱えはある、けっこう大きな箱です。

「コイツを持ってってくれ、お前への詫びと、感謝と、旅の無事を祈って、な」

そう言いながら、ボッドさんが箱の蓋を開けると、そこには銀色にピカピカ輝く、大振りの両刃剣が入っていました。

「神聖銀で出来たバスタード・ソードだ、オレん家の倉にある奴じゃあ、いっとー高い物だが、オレなんかよりお前が持ってたほうがずっといいだろう」
「でも・・・いいんですか?」

いきなり、こんな立派な物をもらって、とまどってしまっていると、ボッドさんは箱から剣と鞘を取り出して収めると、ボクの手にしっかり持たせてくれました。

「なに遠慮なんかしてやがる、おめぇこれから儀式の材料集めてこなきゃなんねーんだろーが、遠慮どころか、奪ってくるぐれぇでなきゃ、この村は救えないんだぜ」

ちょっと乱暴な例えでしたけれど、それはボッドさんなりの励ましなんだと思います。
剣を渡してくれたボッドさんの右手をしっかり握り、ボッドさんの顔を見上げます。

「ありがとうございます、じゃあ、この剣、お借りしていきますね、一日でも早く、ボッドさんが耕した畑に水がまけるように、頑張ります」
「へへっ、こいつ」

ボッドさんがニヤッとわらい、ボクも自然にニッコリと笑顔になりました。

ふと脇を見ると、みんながそれぞれの親しい人達に、最後の挨拶をしている所でした。

「・・・あなた、くれぐれも無理だけはしないでね」
「ああ、わかってる・・・必ずかえって来るから、家の事は頼んだぞ」

メリトさんは奥さんに、

「それじゃ、頑張って一番に帰ってくるから、待っててネ♪ みんな」

カレシンはファンの女の子達に、

「これ、スプニーちゃんの好きなラズベリージャムよ、持ってって・・・どうか無事にね」
「はい、行って来ます」

スプニー君はよく行くお菓子屋のおばさんに、

そして、村の皆に、ひととおり別れを告げると、ボク達四人は、横に並んで村長に向き直りました。

「皆、別れはすんだ様じゃの、それでは・・・」
「待って!」

最後に、村長が一言、言おうとしたその時、誰かが、人だかりを掻き分けて、ボク達の前に出て来ました。

それは・・・

「アーミィ!」
「あ、チエラ」

ボク達の前にいきなり出てきたのは、チエラでした。
チエラは、村長の孫で、十二年ほど前に、旅人のもってきた流行り病で両親を無くし、チエラ自身も病弱な体になってしまっているのです。
ボクはその頃から、よくチエラの部屋の窓ごしに、いろんな話をしたので、今ではお互いに友達同士なのですけれど・・・

「チエラ、外に出ても大丈夫なの?」
「少しくらいなら平気よ」

と、そういうチエラの顔は、なんだか少し怒っているように見えます。

「でも、一体どうしたの?」
「・・・別に」

尋ねても、ぷい、とそっぽを向いて答えてくれません。

「チエラ?」
「・・・・・・旅に出るなんて、そんな大事な事、どうして言いに来てくれなかったの?」
「え?」
「どうしてそんな大切な事、私に話してくれなかったの?」

向きなおったチエラの目には、大粒の涙が溢れていました。
そういえば、昨日は旅の準備が忙しくて、チエラの所に行く余裕がなかった事を、今になって思い出しました。

「ごめん・・・決まったのが昨日だったから・・・」
「でも、でも・・・少しくらいなら、私の所に来れる時間、あったんでしょ?」
「う〜ん、行けたとしても・・・夜中になっちゃってたよ」
「それでも!」

チエラは、小さい子がイヤイヤするみたいに首を降ると、いきなりボクの胸に顔を押しつけて、くすんくすんと泣き出してしまいました。

「夜中でも来て欲しかった、ちゃんと私に、旅の事言って欲しかった! ・・・おじいちゃんからじゃなくって、私、私・・・アーミィの口から話して欲しかったのに・・・!」

そこまで言うと、チエラは大声で泣き始めてしまいました。

「ごめん、ごめんね・・・チエラ・・・」

ボクは村の皆が呆然としている中、そのまましばらく、泣いてしまったチエラの頭を撫でながら、彼女を落ち着かせようとしていました。
朝の空気の中、チエラの泣き声だけが響いていきます。
それは、とっても長くかかった様な、でも短かったような気がしました。

「もう落ち着いた? チエラ」
「・・・うん」

まだ目は涙で濡れているけれど、なんとかチエラは落ち着いてくれたみたいです。
でも、まだとても寂しそうな顔で、ボクの手をきゅっと握っています。
昔から、不安な事があったり、悩み事を話すときは、チエラはこうやって、ボクの手を握るのです。
あったかい手で握られながら、ボクはチエラに、とっても申し訳ない気持ちでした。

ちゃんと話す事が出来なくて、こんなにチエラを悲しませてしまったのなら・・・

ボクはもう一つの手を、チエラの手に、そっと添えました。
本当は違うのかもしれないけれど、今のボクには、このくらいしか、チエラにしてあげられることが、考えつきませんでした。
それは、ちゃんと「約束」することです。

「チエラ、時間がかかるかもしれないけれど、ちょっと、出かけてくるよ」
「・・・・・・」

だまったまま、ボクをじっと見つめているチエラに、ボクは彼女が安心する様に、笑いかけました。

「大丈夫、必ず、ちゃんとここに戻ってくるから、儀式の材料を全部集めて、この村に帰って来るから、だから、泣かないで、チエラ」
「・・・絶対?」

チエラは、ちょっと上目使いに、まだ少し不安そうに、言いました。

「うん、絶対」
「ほんとのほんとに絶対なの・・・?」
「ホントのホントに絶対」
「・・・・・・うん、わかった」

笑顔はどこか淋しげだけど、チエラはくすっと、笑うと、手をボクから離しました。

「約束なんだから、戻ってこなかったら・・・アーミィのこと、キライになっちゃうんだから」
「うん、約束だよ」

と、その時

「そうだそうだぁ!」
「必ず帰って来いよぉっ!!」
「いいぞぉ! アーミック!」
「こンの色男めェ!!」

いままでし〜んとしていた周りの人達から、いきなり歓声と拍手が巻き起こりました。

「え? え?」

なんでこんなことになったのか、全然わからないので、ビックリしていると、メリトさんがポン、とボクの背中を叩きました。

「・・・行こうか」

メリトさんの後ろには、カレシンも、スプニー君も、優しく微笑んだ顔で、ボクを見ていました。

「・・・はい、行きましょう」

ボッドさんとチエラに、もう一度だけ、「ほんのちょっとの」別れを告げて、ボクは、三人と、村の門をくぐりました。

「勇敢なる者達に祝福あれ!」
「勇者一行、ばんざーい!!」
『バンザーイ!!』

村長や村の皆の声を背に受けて、ボクは遂に、外の世界へと旅立ちました。

ところで・・・

「ねぇ、スプニー君」
「なんですか? アーミックさん」

「色男って・・・なんだろうね、ボクは今日水色の服だから、水色男なのかな?」

スプニー君は、なぜかものすごく呆れてしまいました
posted by マテツ at 01:07| Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
めっちゃ一生懸命読んじゃったけど・・・・

なげぇぇぇぇぇぇぇwww

何回かに分けて、連載形式にした方がよかったかもね;;


アンリミテッド・サガはやったことないけど、ぜんたいてきにどこかほのぼのしてて
絵本みたいで楽しめましたよw
Posted by ナーモ at 2006年07月18日 21:29
ナモさんいらっしゃいましー☆

感想どうもありがと!

確かに長かったかもw
もうちょい小出し小出しにしたほうがいいかもね〜
Posted by まてつ at 2006年07月19日 20:59
前にも見せていただいたものですけど、やっぱりゾロリさんの小説いいと思いますよ。
時間も労力もかかってしまうかもしれませんけど、これからもがんばってくださいね。
Posted by ティリア at 2006年07月21日 18:37
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